三都ものがたり、その後

息子たちの自立までの記録、現在格闘中です。【過去ログに北京情報もあります】

暦がひと回りして、年表にしてみた③2013年

今年の春は風が強い。窓から外を眺めると、公園の樹々の枝が左右にゆらゆら大きく揺れていて、気圧に敏感な私は、それを見ただけで「あー出かけたくない」と思ってしまう。公園の樹々の隙間からブランコに乗ったこどもがふわりと浮かんでいる。風などまったく気にせず元気に遊ぶ子どもがうらやましい。

 

さてさて暦がひと回りして、年表にしてみた③2013年

2013 長男20~21歳

長男は行方不明、電話もメールも音信不通のまま1年が経とうとしていた。相変わらず生存確認は通帳の記帳のみ、どこでどうしているのやら・・・GW前だったか、明けだったか、記憶が定かでないが、ある日長男宛ての宅急便、段ボール1箱が届いた。都内から差出人は知らない人、何?と思って開けずにおいておくと、翌日長男が帰宅した。

「ただいま」

『あなたっ・・・!どこでどうしてたの?心配してたのよ』

髪は伸び切ってジーザスクライストのようで、痩せてお腹だけポッコリ出て、アフリカなどでみかける栄養不足のこどものようだった。この体形、いったいどんな生活をしていたのだろう・・・

「ガールフレンドの家に居候していた、誰とも会いたくなかった」

『ガールフレンドって一人暮らしなの?あなたが居候してても親は何も言わないの?』

「親は海外にいて、俺が居ることは知ってるが、俺は大学生ってことになってた」

『そんな子がいるのね・・・で、どうして戻ってきたの?』

「彼女が引っ越すから」

 

居場所があったんだな、よかった。その彼女にお礼を言いたい「ありがとう」

戻ってきてくれた、ここにいる、その安心感はあった。そして期待感、少し先に明るい未来があるような気がしていたが、この日から長男の家での長い引きこもり生活が始まるのだった。体調に波があるようで、風呂・食事は不定期、昼夜逆転、ゲーム三昧、たまに自分の用事のために出かける以外はずっと部屋にいる、そんな生活。お腹ポッコリは家での食生活のおかげか、あっという間にぺったんこになった。長男のそんな様子を見ると、話しをしたくてもなかなか声が掛けられない。私は「どうしたらいいのだろう」と日に日に無力感にさいなまれていった。

 

二男高2~高3

大学受験に向け塾通いが始まった。塾代は半端ない、各講習や模試、湯水のように出ていく。家では相変わらず何も話さず不機嫌な態度で、相談もなく本人が勝手に決めてきて、こちらは払うだけ。進路もようやく決めたが、兄に対する憤り、それに対してなにもしない親に対する怒り、同級生と比べ自分の家族は「普通」ではないという恨みにような感情があるのだ。

部活は、とある部員のあり得ない失態をきっかけに、最上級生の連帯責任という監督独断で、夏の最後の大会も3年生中心のチームではなく、2年中心のチーム作りにすると決められた。次男は最後の大会のメンバーに入ったものの、出場の機会もないまま終わった。とはいえ監督お気に入りの3年の部員は出場していたので、アピールのない部員は「外された」のだ。当時世間から注目が集まっていた監督は「体面を保つ」ために、高校生の部活を利用したとしか思えない。親としてはそれが悔しいし、この理不尽に対して、ふつふつとした思いがしばらく続いていた。部活も終わり、本格的に受験モードに突入。

 

長男の不在中、長男の部屋を使っていた私は、春から長男が帰宅したことで、家の中での居場所がなくなってしまった。

LDKのマンションで3つの個室には夫、長男、二男がそれぞれ。夫と同じ部屋で寝起きするつもりだったが、いびきと加齢臭・飲酒の臭いでとても同じ部屋では寝られない。仕方なくLDの一角をロールスクリーンで仕切り、そこで寝起きすることにした。リビングの一角で生活音はどうしよもなく、まったく気を遣わない夫は深夜に飲食も平気、更年期もあり、薬がなければ寝れない私は心身不調の日が多くなっていった。

夫には幾度どなく話をしても、夫の酒癖・モラハラは変わらず、私はこの先一緒に人生を共にすることはもう無理と思うようになる。夫には自分の思いをぶつけ、その時夫は話は分かったと数日はおとなしくなるが、また同じことを繰り返す。二男の受験が終わったら離婚したいと心底思うようになっていた。

 

この頃の夫のことはあまりよく覚えていない。相変わらずの自己中心生活、出張も多く、仕事とゴルフ、自分の気に入らない状況には怒りをぶつける、私とも息子たちとも溝は埋まっていない、そんな感じだった気がする。年のせいかお酒に弱くなり、酒量も感情もコントロールをできず、家族と衝突することが増えていった。

 

LDKに男3人、酒癖悪い夫、ひきこもり長男、だんまり不機嫌二男と更年期の私、4人それぞれのエネルギーが四角い部屋にギューギューになり、時にはぶつかりスパーク。それぞれが息をひそめ何とか暮らしていたが、時折夫が無遠慮にかき乱すそんな生活だった気がする。

④2014~に続きます。